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★ 第5章 日本崩壊の瀬戸際 東電撤退 統合本部 1
大鹿 靖明 (著)「メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故」 講談社2012/1発行
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本文より
事故後東電は、ほとんどの記者会見を広報部の部付の部長や原子力設備管理部の中間管理職に
任せてばかりいた。部下に任せ、経営首脳たちは上層フロアから出てこない。
東電は勝俣会長、清水社長、それに武藤ら6人の副社長の、合計8人もの代表取締役がいた。
こんなにいっぱい代表権者がいるというのは、日本の上場企業の中では、一部の大手総合商社を
除けば、際立って珍しいことだったが、彼ら経営幹部層が記者の前に顔を出すのは、ほんの数える
ほどだった。ベテランの広報担当者は記者に「なぜ首脳陣が出てきて自分の口で説明しないのか」と
詰め寄られると、「お願いしているのですが……出たがらないんです……」と、恥ずかしそうに
うつむいた。組織の中でふんぞり返っていた連中は、矢面に立ちたくないのだ。
そんな東電なのに、原子力部門のトップがお出ましになって急速記者会見を開くという。
これは撤退発表ではないか。
官邸にいた高官たちは、そう疑った。
(中略)
菅や細野たちと勝俣ら東電幹部が、対策本部の大部屋と同じフロアにある小さな会議室に移った後、
大部屋に残された東電の面々は突如総理に具申する文面を作り始めた。
「いまから稟議書をつくります」と誰かが大声で叫ぶ。「総務部長、文章をつくって」。
総務部長らしき人物が「退避の件、……でいいでしょうか」と、つくった文案を読み上げる。
その紙を回して承認をとっていく。最後に社長の清水が稟議書を承認した。
この緊急時に稟議書かよ、一部始終を見ていた寺田は愕然とした。