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日本漢語は、日本人が漢字を組み合わせて新たに作ったものと、もともと漢籍にあった漢語に新しい意味を加えたものがある。
西洋の文化や科学が入ってくるにつれて、東洋にない言葉が同時に入ってきた。
それを日本語で表現するために、幕末から明治にかけて日本漢語が作られた。
たとえば、「people」には国家に参加する人々という意味があったが、江戸時代の人にその概念はなかったので、
支配される一般民衆と言う意味の「人民」という漢語が選ばれ、「people」の訳語として使われるようになった。
「共和」は、中国に君主がいない時代が14年ありその時代を表す言葉で、江戸後期の漢学者大槻磐渓が近代の概念を表す言葉に転用した。
つまり「人民」も「共和」ももともとは漢文にあった言葉だが、西洋の政治システムを知っていく中で、日本人が新たな意味を加えた漢語。
一方、「進化」とか「主観」とか「宇宙」などは、西洋文化を学ぶ際に日本人が漢字を組み合わせて作った正真正銘日本製の漢語。
福沢諭吉が広めた漢語は「権利」「義務」「社会」「経済」「演説」etc.
西周(にしあまね)が広めた漢語には「知覚」「意識」「哲学」「主観」「科学」etc.
フランス留学経験のある中江兆民は「象徴」「芸術」「自由」「民権」etc.
中国人も同様に新しい漢語を作ったが、どれもしっくりせず定着しなかった。
例えば、「telephone(電話)」を「徳律風」と訳したり(音を当てている)、「evolution(進化)」を「天演」と訳したりしたが、どれも日本漢語に押されて使われなくなった。
簡単に言うと日本漢語の方が実用的な意訳ができていてセンスが良かったからだ。
それに、明治の後半に日清戦争に負けた中国が、日本に習えと留学生を送り大量に日本漢語を輸入した。
そして更に、日本に逃れてきた孫文が「革命」という日本漢語に出会い、気に入って使用するようになったのも大きなきっかけになった。
「革命」も元々漢籍の言葉で、古い王朝から新しい王朝に変わることを意味していのだが、日本がフランスで起こった「revolution」の訳として使い出した。
孫文がやろうとしていたことにぴったりの言葉だった。
いまや、中国の教科書3000語中996語が日本漢語といわれている。