12/03/12 20:22:01.30 8Tfgty2P0
まぁ、ゆっくり読んでくれ>>737
大塚公子『死刑執行人の苦悩』(角川文庫)
執行現場で見たとおりの話はこうだ。
宙づりになった死刑囚はテレビドラマなどで見るように、単純にだらりと吊
り下がるのではない。
いきなりズドンと宙づりになる。このとき死刑囚が立っていた踏み台が中央
から割れて下に開く。その衝撃音は読経のほかなんの音もない静寂の中にいき
なり轟くので、心臓にこたえる感がある。たとえかたがうまくないかもしれな
いが、ぶ厚くて大きな鉄板を、堅いコンクリートの床に思い切り叩きつけたよ
うな音だという。
この衝撃音がバターンと轟くのと死刑囚が宙吊りになるのがほとんど同時。
宙吊りの体はキリキリとロープの限界まで回転し、次にはより戻すために反
対方向へ回転を激しく繰り返す。大小便を失禁するのがこのときである。遠心
作用によって四方にふりまかれるのを防ぐために、地下で待っていた刑務官は
落下してきた死刑囚をしっかり抱いて回転を防ぐ。
間もなく死刑囚は激しいけいれんを起こす。窒息からくるけいれんである。
両手、両足をけいれんさせ動かすさまは、まるで死の淵からもがき逃れよう
としているかに見える。手と足の動きはべつべつである。
手は水中を抜き手を切って泳ぐように動かす。
足は歩いて前進しているとでもいうような力強い動かしかたをする。
やがて、強いひきつけを起こし、手足の運動は止むが、胸部は著しくふくれ
たりしぼんだりするのが認められる。吐くことも吸うこともかなわぬ呼吸を、
胸の内部だけで行っていると思えてならない。
頭をがくりと折り、全身が伸びきった状態になる。瞳孔が開き、眼球が突き
出る。仮死状態である。
人によっては、宙吊りになって失禁するのと同時に鼻血を吹き出すこともあ
る。そんな場合は、眼球が突出し、舌がだらりとあごの下までたれさがった顔
面が、吹き出した鼻血によって、さらに目をおおわずにはいられない形相となる。