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★ 第5章 日本崩壊の瀬戸際 東電撤退 統合本部 3
(中略)
菅も後で知ったこととだったが、保安院ですら東電本店に誰も常駐していなかった。官邸同様、すべて
東電から「リエゾン」という連絡要員を呼んでコミュニケーションをとっていた。だから事態への対処は、
常にワンテンポもツーテンポも遅れた。
「統合本部を作るなんて法律体系にはないんだ。今ままでの法律では保安院が東電から人を呼んで
話を聴いて、必要があれば経産相や総理に伝える、そういう法律の立て付けになっているんだ。
直接東電をコントロールする法律はないんだ」
それで試みた超放法規的な措置である統合本部の設置は、その後の推移にとってきわめて重要だった。
「だって向こうに行かずに官邸だけでやったら、わからなかったんだから」。そう菅は言った。
対策統合本部の事務局長となった細野は、やがて東電に詰めて「ああ、この会社は平時の会社だな」と
悟るようになった。日々接していくうちに、「東電は電力供給というルーチンワークの会社で、大きな
決断ができにくい会社」「物事を決断して俊敏に動ける会社ではない」と理解したのだった。東電の
原子力・立地本部の幹部たちは、吉田以外は、みな一様におろおろし、何を聞いても言いよどむか、
はっきりしないことしか言えなかった。
それともう一つ、この会社を動かしているのが清水ではなく、勝俣だということもようやく自覚した。
大鹿 靖明 (著)「メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故」 講談社 2012/1発行
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