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東京電力福島第1原発事故5日目の昨年3月15日、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム
(SPEEDI)による放射性物質の拡散予測について、当時の高木義明文部科学相ら政務三役や文科省
幹部が協議し「一般にはとても公表できない内容と判断」と記した内部文書が作成されていたことが2日、
同省関係者への取材で分かった。
文科省は「事務方が作ったメモだが不正確。公表の具体的な判断はしなかった」と内容を一部否定
している。
事故直後のSPEEDIの試算公表をめぐる文科省の議事録などは公表されていなかった。予測は
原子炉内の全ての放射性物質の放出を想定し、文書には「関東、東北地方に放射性雲が流れるとの結果が
出た」と広範囲な流出も記載、文科省が最悪の事態を想定し計算を繰り返していたことが明らかになった。
文書は昨年3月19日付。政務三役らが出席した15日の会議で、試算結果を三役が見て「一般には公表
できない内容であると判断」と明記され、より標準的な内容のデータを用意することになったとしている。
当時副大臣だった鈴木寛参院議員は共同通信の取材に「全量放出との前提は現実にはありえず、
パニックを呼ぶ恐れもあった」と説明した。
文書は、翌16日の三役会議の様子も記載。文科省はデータの提供に徹し評価はせず、今後は原子力安全
委員会が公表すると鈴木副大臣が提案、合意された、としている。
政府の事故調査・検証委員会の中間報告に、こうした経緯の概略は記されたが、詳細は分かって
いなかった。
民間の有識者でつくる「福島原発事故独立検証委員会」(民間事故調)は報告書で、SPEEDIの
公表をめぐる文科省の対応を批判、データ公表が遅れた一因となったと指摘した。
▽中国新聞
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