12/03/05 17:10:41.46 /I/bz6VsO
>>684
★人は獣(ケモノ)にあらず、人は神にもあらず。人が人であるために、今一度考えるのだ、人とは何かを…、何をするべきかを…。
賢くなり過ぎた人間は、この世の全てを管理し支配しようとする、まるで神であるかのように…。
大きな力を手に入れた人間は、弱者を喰らい、どんな残酷な行ないもいとわない、まるで獣であるかのように…。
進歩し過ぎた人は、人であることを、いつの間にか忘れてしまった。
■全体主義を短くて恐ろしい寓話にした書籍
◆『短くて恐ろしいフィルの時代』(著:ジョージ・ソーンダーズ、訳:岸本佐知子。出版:角川書店)
■本書は、こんな場面から始まる。
2つの国の国境地帯で、一人のひねこびた平凡な男フィルが、あっちの国民がこっちの領土にはみだしたら、「税金を取ればいい」と言う。
それを聞いた国民は「あったまいいぜ」と言い、
さらにフィルが、自分達がどれだけあっちの国民より優れているか語り始めると、「俺達の言いたかった事をズバリ言ってくれた」とこっちの国民は喜んだ―。
テレビで人気の政治家の発言に対する、視聴者の反応のようだが、ここからフィルは独裁者となり、タイトルの恐ろしい時代が始まるのだ。
この寓話は、国民、統治者とその側近、マスコミを巻き込んで、どのように独裁者が現れるのか、また全体主義が遠い国の話ではないことを教えてくれる。
短くて・簡潔で・単純な言葉で・語る独裁者の正義に、理不尽に搾取され虐殺される現実を戯画化した、とてもグロテスクな物語。
『フィルが恐ろしいというより、フィルが君臨できてしまうことが恐ろしい』。
独裁者は、こんな風にして生まれる。そして恐怖政治も、独裁者の周りにいる人々が作っていくのだと…。