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両雄並び立たず。この成句は古代中国で競った項羽(こうう)と劉邦(りゅうほう)の故事による。
実力伯仲の戦いに固唾(かたず)をのむのは大衆の習いで、二強には双璧、竜虎と類語が多い
▼政界とて同じ。二大政党の党首討論といえば、議会政治の見せ場だろう。だが昨日の一戦も、両雄相まみえる迫力を欠いた。野
田首相、自民党の谷垣総裁とも、言いよどみなく正論を並べたが、火花が散らない。失礼ながら「並び立つ」軽さである
▼お二人の言葉をつなげば、「お互い党内には色々あるが」(野田氏)「それぞれの責任を果たしていきたい」(谷垣氏)となる。ごもっとも。
これだけかみ合うなら、とことん議論を重ね、さっさと懸案をこなせばいい
▼そもそもこの討論、軽重以前に正当性が怪しい。まずは衆院という場所だ。立法府とは名ばかりで、
一票の格差ゆえ最高裁に駄目を出された脱法の府である。恥ずべき場で、恥ずべき責任者が顔を合わせた一席だった
▼民意の後ろ盾も寂しい。本紙の最新調査によると、民主党の支持率は17%、自民党は12%で、足しても3割に満たない。
もはや「二大」でもなかろう。5割を超す「支持政党なし」層を頼んで、市長や知事が永田町の外から機をうかがっている
▼むろん、政治の惨状を許した責任は有権者やメディアにもある。
ぐっとこらえ、そろそろ「政変中毒」(五百旗頭真〈いおきべ・まこと〉・防衛大学校長)を脱する時ではある。
野田氏には大きな政策をまとめる指導力を、谷垣氏には小さな政局を捨てる度量を求めたい。
asahi.com 2012年3月1日(木)付
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