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「防護服姿の作業員はみな、顔面蒼白(そうはく)だった」。報告書は3月11日、
福島第1原発の対策本部にいた作業員1人の緊迫感に満ちた証言を紹介した。
証言によると、地震発生時、作業員は5、6号機近くの屋外にいた。向かった免震重要棟には
700人が避難していた。
「これとこれを教えろ!」。マイクで吉田昌郎所長の怒号が響く。
夕方、「原子炉の水位が把握できない」「午後10時には燃料棒の露出が始まる」
との報告が届いたが、所長は「了解」としか答えなかった。
「あれは生(なま)蒸気です!」。午後7時すぎ、1もしくは2号機から連絡が入った。
作業員は原子炉の蒸気をタービン建屋に送る配管が壊れたと考え、「この原発は終わった。
東電は終わりだ」と思った。中央制御室の外側で放射線が検出され、
東電社員らは「まさか爆発しないよな」と口にし始めた。
「ベントしろ」「注水しろ」。東電本店からの指示に、所長は「何でもいいから液体を
持ってきてくれ」と応じていた。重要棟1階では手動ベントに向け、
東電社員や関連会社の人々がおよそ20人1隊で5列に並んだ。防護服に身を包み、
全員が震えていた。「言葉にはできないほど怖がっていた」
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