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★昭和を美化する人々への違和感
◆昭和30年代は“強欲の時代”上澄み掬って昭和を語るなかれ
過剰な昭和の美化に酔いしれる層がいる一方で、「本当にお前ら、そんな時代を経てきたのか?」と
疑問符を投げかける人もいる。小説家の深町秋生氏もその一人だ。
「昭和を模したテーマパークやレトロ居酒屋が出現し始めた当初は、単純におもしろい試みだなと思っていました。
昭和50年生まれの私が、生まれる前の世界を疑似体験できるわけですから。
ただ、バブルが崩壊して不況が長引くにつれ、昭和30年代の上澄みでしかない“よき部分”を、
あたかも昭和の全体像として語る人が増えてきたことに違和感を感じたんです」
ただ、深町氏は「昭和30年代は大好き」と語る。
それは“光”だけでなく、欲望や情念が渦巻く“闇”の部分も含めた真の昭和だ。
「山口組の勢力拡大や浅沼委員長刺殺事件、公害や犯罪などの事実を記憶の底にしまいこんで、
高度成長期を印籠に『俺たちの時代はよかった。昭和30年代は美しかった』とする風潮には嫌気が差しますね。
本当は“強欲の時代”であって、各地で多発した公害や列車事故なども、
利益を優先するあまり安全対策が後手に回って起きたのだと思います。
さらに現在は付け上がって『ゲームやネットなんてなかったから心も健全だった』などと統計も証拠もないまま否定する。
単なる俗流若者論ですね」
“闇”を無視すれば、事件や事象の本質がぼやけてしまうことも多々あるという。
「昭和32年、米兵がおもしろ半分で群馬の農婦を射殺した事件をきっかけに、庶民の反米感情が爆発しました。
それが後の安保闘争の一因となり、白人レスラーをぶちのめす力道山が国民的スターになった。
単純に生きること自体が厳しく、人と人とが協力せざるを得なかったんだと思いますね。息の詰まる時代だったんです」
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