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元サムスン電子常務・吉川良三氏「サムスン電子の躍進に学ぶ、グローバル市場を見据えたものづくり」
原子力という話が出ましたので、ここで、冒頭でも触れたアブダビの一件についてお話し
しましょう。アブダビでの受注は原子炉の技術勝負になったわけではないんです。
石油はいずれに枯渇しますから、UAEとしては、今エネルギーを原子力発電に替えた
かった。だから原子炉をつくる技術ではなく、稼働率が問題になっていたんです。
韓国はフランス製の原子炉を15基保有していますが、その稼働率は90%。日本は55基
保有していますが、稼働率は60%未満なんです。
なぜかと言うと日本人のトラウマですね。長崎と広島。“原子”とつくと背筋が寒く
なってしまう。ちょっとでもトラブルがあったら「反対!」となってしまうんです。
そもそも原子爆弾と原子力発電はまったく原理が違うのに、です。
日本では二次冷却水を貯蔵するタンクに少しヒビが入って水漏れすると、それだけで
大騒ぎになって2~3年止まってしまいます。でも韓国は水漏れしたってへっちゃらで
すよ。止めるわけがない。原子炉が爆発したら別ですが(会場笑)。
世界中で300~400基の原子炉があるにも関わらず、過去に爆発で人が死んだ例は2件しかありません。アメリカのスリーマイル島と旧ソ連のチェルノブイリだけ。
もの凄く安全なんですよ。
だからアブダビの受注では、「原子炉をつくったことがないのにどうするんだ?」と聞かれた韓国が、
「隣に日本があります」と言ったら、「おおそうか。日本の技術は大したものだから、じゃあ発注しよう」と
いうことになった。
実際、韓国勢は帰国したらすぐ東芝に発注しました。要は運用技術がなかったんです。
日本に頼んでも、何か起きたらすぐ止められると思ってしまう。
それでは彼らも困ります。これは技術が競争優位になっていないという証拠なんですね。
技術を競争優位に変えるためにはシステムとして戦わないといけません。
韓国は韓国電力一社が前に出てきて戦いましたが、日本は、北海道電力、
東京電力、関西電力…、7社がばらばらに動いていた。
それをひとつにして売っていかないとだめだということです。