12/01/28 19:48:03.81 6/maCCVn0
>>708
星新一風なら
女医はN氏に向かって微笑んだ。
「あなたは猜疑心が強すぎるのよ、物事を素直に信じるよりも何か裏があると
考えるほうが自分が情報通だという自尊心を満足させられるから、そうしてるだけなの。」
決め付けられても困るといった表情でN氏は「そんなもんですかね」と言った。
とたんに女医の表情が曇る。
「あのね、私は精神科医なの、それも優秀な」
苛立ちを隠しもせずこう続けた。
「もちろんこんなことは証明できるようなことではないわ、いわば印象としての仮説だけどね
でも私が間違っているわけ無いんだから、いちいち口答えするもんじゃないニダ」
N氏は心のなかでしまったと思いながら「そうですね、貴女のことは信用してます、
疑うなんて愚かでした」
女医は満面の笑みで、「そう、わかればいいのよ、ではまた来週に」といって
椅子をくるりと回して背を向けた。
「ありがとうございます」N氏は軽く会釈して病室を後にした。
ドアを閉めると看護婦が心配そうに近寄って「少しは良くなってきてるんですか?」
と尋ねた。
「だめだね、完全に自分が精神科医だと思い込んでしまっている。治療はおぼつかない。
でも彼女を否定するとひどく暴れるからね、このまま芝居を続けるほかないだろうな」
N氏は嬉々としてカルテに分けのわからないことを書き込んでいるK女史をガラス越しにみて
深いため息を付いた。
こんな感じじゃないかな