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前回、日本は今何よりも教育に投資しなければならないにもかかわらず、教育に対する公的支出のGDPに対する比率が
OECD加盟国中で最低であることを指摘した。特に知識集約型産業を育成するためのカギとなる高等教育(大学)への支出はGDP比で0.5%。
OECD加盟国平均(1.0%)の半分でしかないのは深刻な問題である。
このデータを紹介した後、何人かの方からご指摘を頂いた。「日本の教育においては公的部門ではなく
家計が大きな投資を行っている」というものである。
この指摘はある意味では正しい。
国家全体として教育に対して支出している総金額のうち、家計を中心とする私的支出が占める割合を見ると、
OECD平均が16.5%であるのに対して日本は33.6%と2倍の水準にある。この数値はチリ(41.4%)、韓国(40.4%)に次いでOECD加盟国中3番目の高さである。
また、これからの日本経済を支えていく知識集約型産業に直結する高等教育に限って見ると、公的支出は対GDP比で0.5%とOECD平均の1.0%の半分にすぎない。
一方で高等教育に対する私的支出は対GDP比で1.0%と、OECD平均0.5%の2倍も負担しているのである。
日本の教育は公的な財政支出の少なさを家計が補って支えていると言うことができるのである。
この事実は国家の教育方針にとどまらず、社会構造に対して重大な影響を及ぼしていることに留意しなければならない。
その重大な影響とは「社会階層の固定化」の問題である。高いレベルの教育を受けるためには家計を中心とした
多額の私的負担が必要となる とすると、教育機会の獲得において裕福な家庭の子女の方が圧倒的に有利となる。
裕福な家庭の子女は両親の経済力によって高度な教育を得て、高収入が得られる職業に就くことができる。
一方、貧困層は高額な学費が負担できないため、高学歴-高収入のキャリアルートに入ることが難しい。
その結果、裕福な家庭の子女はまた裕福になり、貧しい家庭の子女はやはり貧しいまま、という社会階層の固定化が発生することになる。
教育支出における家計依存は社会階層が固定化する原因になっているのである。
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