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2011年12月30日。首相官邸に姿を現したこの年最後の訪問者は岡田克也氏だった。
消費増税を巡る民主党内の調整が終わったのを受け、藤村修官房長官と１時間ほど
年明けの与野党協議の進め方について話し合った。
岡田氏は野田佳彦政権発足以降、１週間に１回、官邸で藤村氏とこうした会合を持っている。
昨年９月の組閣では官房長官就任の打診を固辞。党の要職にも就かなかったため
「ポスト野田を狙う好位置に立とうとしている」との見方もでたが、首相ともひそかに公邸で会ったり、
電話したり、パイプは太い。そもそも、昨年夏に「党代表選の準備をしたほうがいい」と首相に出馬を促したのは岡田氏だった。
「選挙をせずに民主党４人目の首相はない。野田さんで解散すべきだ」。
岡田氏は最近、こう繰り返す。昨年末の若手議員との夕食会でも「通常国会は解散含みの修羅場になる」と強調した。
きわどい発言が「官邸との近さ」とも相まって臆測を呼ぶ。野党が参院で多数を持つ逆転国会の現状は厳しい。
消費増税を巡って緊迫した局面も予想される。ただ、そこで「トップのすげ替え」をするより、
増税の必要性を訴えて打って出た方が活路がある―。岡田氏はそう見定めているフシがある。
足の引っ張り合いがお家芸の民主党に苦言を呈してきただけに、首相を支えることへのこだわりもある。
昨年１２月には増税の前提となる行革に関する党調査会の会長にも就いた。
「野田政権と一蓮托生（いちれんたくしょう）」ともいえる姿勢は、自身の将来像とも絡む。
岡田氏は０９年の政権交代直後、菅直人氏らとともに衆目の一致するポスト鳩山候補だった。
その後、民主党政権が迷走する中で待望論もしぼんだ。「今も首相を目指す気持ちはある」と周囲は見るが、環境は厳しい。
自身は自らの出番を「３～４年後」と漏らす。衆院選後に続投した野田首相の次狙いとも聞こえるが、
野党民主党の代表で終わる可能性もある。政権与党にいながら首相になる道筋を描けないのが、苦しいところだ。
岡田氏は今年５９歳。気がつけば「出番」を競うライバルは、年下が多くなっている。
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