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■巨大な社会コストと釣り合わない放射能リスク
前回『放射能対策、「健康被害極小」から「事故被害減少」へ政策の転換が必要』という記事には賛否両論の多くの意見をいただいた。
内容をまとめると、以下の通りだ。
▼放射線は年100ミリシーベルト(mSv)以下を緩やかに浴びたとしても被ばくと発がんなどの健康被害の証拠が得られない。被害の可能性は少ない。
▼福島原発事故では、福島と東日本の放射線量では、健康被害の可能性は少ない。
▼福島事故ではこれまで1人も死者がいない。これからも健康被害の可能性は極小である。
それなのに推定で4兆円以上も東京電力が支払い、避難や混乱などの社会コストも発生した。この負担は妥当なのか。
今回のコラムはその主張を補強する情報を追加したい。1986年のチェルノブイリ事故の教訓だ。
広島と長崎の原爆投下の被害者のデータは蓄積されている。原爆の被害の中心は火と熱だった。
また爆心地近くの瞬間最大1000mSv前後の急性被曝も放射線による健康被害をもたらした。
しかし低線量での長期間の被曝では200mSv未満で、長期観察を経ても健康被害があるとは明確になっていない。[1]
しかし原爆よりも福島の原発事故の参考になるのは1986年に起こった旧ソ連のウクライナのチェルノブイリ事故だ。
ただし福島の放射性物質の大気中への拡散量はチェルノブイリの10分の1以下と推定され、原子炉も大きく破損はしていない。(>>2以降に続く)
1月7日(土)10時34分配信
URLリンク(zasshi.news.yahoo.co.jp)
[1]Wアリソン(2011年)「放射能と理性」徳間書店 6章
[2]IAEA(国際原子力機関)など(2006年)チェルノブイリの遺産(概要の日本語訳)
[3]UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)(2008年)チェルノブイリ事故についての放射線の影響評価(要旨の日本語訳)
[4]同委員会 海外の専門家から寄せられたメッセージ