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・『あんぽん 孫正義伝』著者の佐野眞一氏は、同書のなかで、孫正義氏へインタビューし、
「安本」という日本名を捨てたことについて尋ねている。以下、二人のやり取りと佐野氏による解説だ。(文中敬称略)
* * *
「私は孫という名前で、ユニソン・ワールドを始めました。そのとき、二つの選択肢があったわけです。
孫の名前で会社を興すか、それとも元の安本にもう一回戻って、会社を興すのか。僕の親父も親戚の
おじさん、おばさんも全部安本の名前で通していましたからね。だから、孫の苗字のままで日本で会社を
興すのは、親戚の中では僕が第一号なわけですよ」
─孫の苗字のままだと、韓国人だということがバレちゃいますからね。親戚は孫さんが安本という
日本名を捨てたことに反対しませんでしたか。
「猛反対でしたよ」
予想した通りの答えだった。だが、孫がこの帰化問題をここまで率直に言うとは思わなかった。
「おじさん、おばさんたちが、それこそ全員集まって、『おまえ、それだけはやめろ』と言うんです。
在日が日常生活で差別されるケースはだいぶ減ってきたけど、就職するとか、金を借りるときには、
間違いなく差別されるぞ、孫の名前では銀行は絶対金を貸さないぞ、お前が考えているより、ハードルは
十倍あがるぞ、なんでお前はわざわざ好んでその難しい道を行くんだって、猛反対するんです」
(>>2-10につづく)
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