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福島第1原発事故から9カ月たったが、不安は尽きない。最も心配なのは、健康被害がいつ、どのように出てくるかだ。
「被曝(ひばく)の影響と証明されている甲状腺がんも、一気に増えたのではありません。事故から3~4年後に増加しています」
こう言うのは、「ウクライナ放射線医学研究センター」の医学博士エフゲーニャ・ステパノワ氏。
チェルノブイリ原発事故から25年間、現地の子供たちを診てきた。
「病気が出るまでには潜伏期があります。大人も子供も、まず胃腸に影響が出る。体内でセシウムを受け止める最初の臓器だからです」
福島第1原発をめぐっては、吉田昌郎前所長の「食道がん」と放射性物質の因果関係が取り沙汰された。
公式には「被曝と関係ない」といわれているが、分からない。
放射性セシウムは、消化器の粘膜に直接影響を与えるという。大量に取り込んでしまうと、悪さをし始めるのも早いのだ。
「原子炉事故では、放射性物質と同時に有毒物質も出ている。多くの人が避難も経験し、ものすごいストレスを受けています。
何が原因なのかハッキリさせるのは難しい。ただ、放射線の影響がない地域に住む子供と比べると、
病気にかかる頻度は高い。被曝した子供のうち、健康だという子供の数は減っています」
汚染度555キロベクレル/平方メートル以上の区域に居住していた子供と、汚染の少ない地域の子供を比較すれば、違いは明白だ。
血液系障害は2.5倍、肝臓組織の筋腫化は2.3倍、呼吸器疾患は2.0倍、免疫障害は1.8倍、
自律神経血管機能障害は1.52倍というから恐ろしい。こまめに診察を受け、早期発見につなげる仕組みが必要だ。
日本では米、肉、魚、加工品と次から次に放射性物質が検出されている。その影響も気がかりだ。
「ウクライナでは、事故当時からずっと警戒されている食べ物があります。牛乳です。子供の内部被曝の80%は牛乳です。
原子炉から放出された放射性物質は雨で土壌を汚染する。そこに生えた草を食べた牛の牛乳から人間が摂取してしまうのです。
もちろん、肉も注意が必要ですが、次に危ないのはキノコ。放射性物質を土壌から吸い取るスポンジの役割をしてしまうのです。用心すべきでしょう」
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