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★【産経抄】
江戸時代きっての知識人だった新井白石は、6代将軍家宣の側近、今風にいえばブレーンとして
国政にも辣腕(らつわん)を振るった。その彼の最も大きな功績は、先代綱吉が亡くなった直後、
家宣に提出した皇室に関する意見書だろう。
▼当時の皇室は、財政難もあって天皇の子供でも皇位継承の可能性が高い親王を除き出家させるのが普通だった。
承応3(1654)年に後光明天皇が若くして崩御した際には、皇族男子はほとんど出家しており、
綱渡りの状態で後西天皇が即位した。
▼事態を憂えた白石は、徳川家に御三家があるように、皇室にも皇統断絶を防ぐため新たな宮家が必要だと論じた。
白石が偉かったのは、宮家が増えるのは武家にとって不利ではないか、という慎重論を一蹴、
「ただ、武家政治の良否のみに関係する」(折りたく柴の記・桑原武夫訳)と幕府の枠を超えた判断を示したことだ。
▼家宣は彼の意見を取り入れ、宝永7(1710)年、閑院宮家が創設された。この血筋を今上陛下も引かれているのだから、
白石の建言と家宣の英断がいかに先見の明があったか300年を経たいま、よくわかる。
▼藤村修官房長官は、きのうの会見で、女性皇族が結婚しても皇族の身分を維持する「女性宮家」の創設について玉虫色の発言をした。
ひとつの案ではあるが、占領下に臣籍降下させられた旧皇族の復帰も検討するのが筋だ。
▼とはいえ、当面は秋篠宮さまの長男、悠仁さままで皇位継承に何の心配もない。
政府・宮内庁が今なすべきことは、悠仁さまにしっかりと帝王学を学んでいただく態勢をつくることだ。
その後のことはじっくりと衆知を集めれば良い。平成の世にも白石はきっといるはずだ。
産經新聞 URLリンク(sankei.jp.msn.com)
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