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【ローマ藤原章生】新政権が誕生したイタリアで、移民の子に対する国籍付与をめぐる議論が活発化している。
イタリアは19世紀の建国以来、「両親のいずれかがイタリア人」という「血統主義」を国籍付与の条件に掲げてきたが、
ナポリターノ大統領は22日、「常軌を逸した愚かなことだ。子どもたちは国籍を渇望している」と述べ、国会での法改正を求めた。
民主党上院議員は22日夕、国籍法の一部改正案を上院に提出。イタリア生まれの移民の子に
国籍を与える「出生地主義」に113議員が賛同したが、「血統主義」を重んじる保守派は反発を強めている。
イタリアでは過去10年で東欧やアフリカ、アジアからの移民が10倍に増え、今年1月時点で約500万人、人口の1割近くに達した。
慈善団体「セーブ・ザ・チルドレン」によると、イタリアで生まれ、イタリア国籍を持たない移民の子は約57万人で、全児童の約6%を占める。
92年制定の国籍法(第91法)では、イタリア国籍取得の基本条件は(1)両親どちらかが国籍保有者
(2)イタリア生まれで両親とも不明か無国籍者で他の国籍を保持しない者--などに限られている。
ナポリターノ大統領は新政権が発足して間もない22日、キリスト教系宗教団体の有力者が集まる会議で
「イタリアで生まれた移民の子の国籍問題に、国会が取り組めることを祈る」と早期の法改正を促した。
大統領は国家元首の立場上、これまで政治問題への直接的な言及は避けてきた。
だが、移民排斥をうたうベルルスコーニ政権が退陣し、自身が選んだモンティ政権が
18日に始動したのを機会に、踏み込んだ発言をしたものとみられる。
中道左派の「民主党」や「価値あるイタリア」、中道政党連合ら前政権時代の野党が
法改正を支持するが、ベルルスコーニ前首相の「自由国民」や「北部同盟」は反対している。
マローニ前内相(北部同盟)は自党のラジオで「出生者みなに国籍を与えるのは憲法の曲解だ。
北アフリカの移民がみなイタリア人となったら災難だ」と批判している。
毎日新聞 2011年11月25日 東京夕刊
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