13/04/04 00:38:00.22 I/wwDJZq0
樋渡は近づいた。そして自己紹介もそこそこ、単刀直入に切り出した。
「うちの街の図書館の運営をお任せしたい」。
・・・増田宗昭はそのとき偶々、
自らが創り上げた「代官山 蔦屋書店」を眺めていた。
そこへだしぬけに樋渡に声を掛けられて、増田は驚いた。
そしてその言葉にはもっと驚いた。
しかし、その驚きは心地よいものでもあった。
そこには堅苦しい挨拶も、退屈な説明もなかった。
打算もない。根回しもない。明快な素直さだけがあった。
だから増田も即答した。何の逡巡も感じなかった。
「ぜひ、やらせてください」。
「武雄市図書館」再構築のプロジェクトが動き出したのは、
こうして書くと偶然の産物のようにも映る。
しかし、それは本当に偶然だったのであろうか?
常に改革を目指す男がいた。常に企画を生み出す男がいた。
そこで何かが生まれるのは、実は必然ではなかったのか。
ともかく、ひとつ確かなことがある。
この計画は会議室の中ではなく、冬晴れの舗道の上で、始まった。
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ちょっと長いけど、武雄市図書館のリニューアルオープンを記念して発行された図書館が街を創る。 「武雄市図書館」という挑戦