現代数学の系譜11 ガロア理論を読む7at MATH
現代数学の系譜11 ガロア理論を読む7 - 暇つぶし2ch402:現代数学の系譜11 ガロア理論を読む
13/02/17 07:32:40.12
>>401
米沢富美子(16) 不規則系 2012/06/17

1967年、二女を妊娠中に「不規則系の新理論」を発表した。この理論はすぐに世界的に認められ、私の出世作となる。

最終段階まであと一歩のところで、なかなか視野が開けない。1日4時間睡眠で机に向かっていたある日、新しいアイデアが突然ひらめいた。「これだっ!」。雷に打たれたような衝撃に、体の震えが止まらない。
興奮の第一波が過ぎると、次にこれを論文に書くことが今回はとりわけ難しいと気づいた。数学的にかなり複雑な内容だ。自分の頭で理解することと、それを人に分かってもらうことには、大きな隔たりがある。

大学院時代の指導教授、松原武生先生の口癖を思い出した。全ての精力と時間を3等分して「テーマ探し」「実際の研究」「論文書き」に配分せよという教えである。
2番目の「実際の研究」が全てだと思い込む傾向があるが、本当は、最も適切なテーマを掘り出す1番目と、成果を確実に発表する3番目も同じくらい重要だとたたき込まれた。
フル回転モードを持続して論文を仕上げた。この理論は「コヒーレント・ポテンシャル近似」、頭文字をとって「CPA」と名づけられ、広い分野で標準的な近似として用いられるようになる。

碁盤上の碁石を原子に見立てて、この理論を説明しよう。
交点に白と黒の碁石が不規則な並びで置かれたものが、「不規則2元合金」である。

新理論は、361個の全交点がいわば「灰色」の碁石で占められていると考えるもので、多くの実験結果をうまく説明できる。ただその「灰色さ」が鍵で、白石と黒石の数の割合を反映した「複素数」の効果を持つ灰色になる。
私はこの複素数を数学的な解析から導いた。この理論に到達したとき「こんなことを思いつく人は、世界中に誰もいないだろう」と考えたが、実は米国の物理学者P・リースがほとんど同時に似た内容の論文を発表した。
私は後にリースと会い、お互い「他人に頭の中をのぞかれたような気がした」と語り合い、盛り上がることになる。

私やリースの論文と同時期に、米国とカナダの科学者が「物理的考察」から独立にこの複素数を求めた。奇しくもわれわれ4人は28歳と29歳だった。
ノーベル物理学賞受賞者のP・アンダーソンはこの理論を「静かだが過激な革命」と評した。


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