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>>395-396
つづき
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米沢富美子(15) 夫の“激励” 2012/06/16
「怠けてないか」に奮起
抜粋
長女が1歳になる前に、第2子を妊娠した。長女の育児と第2子の妊娠の同時進行は予想していたが、これが想定外の厳しさだと判明する。使い捨ておむつも全自動洗濯機もなかった。
夫は帰宅が遅いし、週末の休みもテレビの前にペロンと寝そべっていて、家事育児は一切しない。大阪までの通勤が往復3時間かかり、疲れている様子だった。私は家事分担を巡る争いはしないと決めていた。争う時間とエネルギーが惜しい。
つわりが重いうえに、育児は一日も手を抜けない。長女出産以来の無理も積もっていた。体調が悪くて家事がはかどらず、休日も本を開けなかったりした。
そんなある日、夫が「君が勉強している姿を最近見なくなった。怠けているのじゃないか」と強い口調で切り出した。さらに「京大の助手になったくらいで慢心していたら、あとは伸びないよ」と容赦のない言葉を浴びせる。
ガーン。頭を殴られたような衝撃を受けた。「それなら少しは手伝ってよ」と反論したかったが、私は無言で立ち尽くしていた。「一番痛いところを突かれた」という思いもあった。
夫なりの激励の表現に違いない。夫は求婚の時、物理と結婚の両方を取れと言ったけれど、これは「勝手にやれ」の意味で、「手伝ってやる」ではなかったのだ。
その日からつわりも消えた。私は根性で机にかじりつき、不規則系の分野で「世界的」といわれる大仕事を完成させるのである。
(慶応大学名誉教授)