12/11/04 07:10:18.25
>>237
つづき
URLリンク(www.kurims.kyoto-u.ac.jp)
最後に、本サイトの「過去と現在の研究」の解説に登場する「IU幾何」ですが、IU幾何は現在のところ、
まだ発展途上の段階にある理論なので、今から直接IU幾何の勉強を始めてもらうのはちょっと難しいと
思いますが、関連したテーマで、IU幾何の「心」を汲んでいるものについて勉強することは可能です。
IU幾何の「心」は、簡単に言うと、次のようなものです:
「数論幾何において本質的なのは、環やスキームのような‘具体的’な対象たちではなく、むしろそれら
の具体的なスキーム論的な対象たちを統制している、様々な(‘組み合わせ論的アルゴリズム’に近い)
抽象的なパターンである。」
このような現象の典型的な例として次のようなものが挙げられます:
(1) log schemeの幾何:詳しくは、私の論文 Extending Families of Curves over Log Regular Schemesの
文献リストに出ている加藤和也先生の二つの論文を参照して下さい。簡単にまとめると、
「多項式環等、Noether環の構造のある側面の本質は、モノイドという組み合わせ論的な対象に集約される」
という内容の理論です。
(2) 遠アーベル幾何:これについては、沢山の論文を書いていますが、入門的な解説では、次の二つが挙げ
られます:
・「代数曲線の基本群に関するGrothendieck予想」
・「代数曲線に関するGrothendieck予想 --- p進幾何の視点から」
簡単にまとめると、「数論的な体」の上で定義された双曲的曲線の構造は、その有限次エタール被覆の自己
同型群の群論的構造だけで決まるという理論です。