現代数学の系譜11 ガロア理論を読む6at MATH
現代数学の系譜11 ガロア理論を読む6 - 暇つぶし2ch6:現代数学の系譜11 ガロア理論を読む
12/07/15 22:18:03.81
>>5 つづき
現代素粒子論の三つの基本は南部の天才から生まれた
 実は、そう感じている物理屋は相当いると思います。南部陽一郎を高く仰ぎ見て敬愛する専門家は多いからです。
では、なぜ偉いのか。それは、この五〇年間の素粒子理論の研究のすべての面で先鞭をつけ、研究全体をリードしてきたのは南部だからです。
南部陽一郎の名を抜きにしては、現代の素粒子理論のどの面も語れません。
クォークが多次元の「ひも」で結ばれているという「ひも理論」も、湯川秀樹の中間子理論を大きく進化させた「色の量子力学」も、素粒子の質量を決める理論である「ヒッグス機構」も、そのどれを取っても最初の発端は南部のアイデアです。
 現在の素粒子論では陽子も中性子も素粒子ではなく、その三分の一のかけらに相当するクォークが素粒子であることが確定していますが、
このクォークを考える決定的一歩になった「西島ゲルマンの公式」も、実は南部が西島和彦に与えたヒントが基礎になっていると言われています。
 つまり、南部は一人で「現代素粒子理論」の骨組みをつくったような人です。物理学者としての「仕事ぶり」= 「頭の働き」は、まさに「すごい」と言うしかありません。その「すごさ」は、湯川を超えているとさえ思われます。
 南部のすごさを語るには、以上の三つの仕事を説明せねばなりませんが、一般の人がそれを聞いて何かが「わかる」とは、とても期待できません。
「角運動量」も「固有振動数」もわからない人をつかまえて、「アイソスピン」や「ゲージ場」の説明はまったく意味がないからです。ただし「たとえ話」を使って、わかった気にさせることは可能です。「自発的対称性の破れ」の説明がそれです。
 (略)人間の体は対称なはずなのに、あらわれる結果は非対称になります。これが自発的対称性の破れです。これを聞いて、「ノーベル賞とはその程度のことか」と思う人が多いかも知れません。
これは間違いです。対称性の破綻の発見が南部の仕事ではなく、それが素粒子の質量を決める原因になっているというのが、南部の発見だからです。
つづく


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