12/09/09 06:03:16.80
>>403
つづき
抜粋
URLリンク(mathsoc.jp)
[その他]
最近の望月さんは, 自身のホッジ・アラケロフ理論の研究を大きく展開(転回?)さ
せて, 圏論を基礎とする全く新しい幾何学の壮大な理論の構築とその数論的応用を精力
的に研究されています. 望月さんのこれまでの研究も, ディオファントス幾何への応用
を強く意識しながら大理論を構築する, というスタイルが特徴的でしたが, 現在の研究
は, ディオファントス幾何をより直接的な研究対象としており, abc 予想などの重要未解
決問題の解決が近いことを, 望月さん本人も確信しておられるようです. そのため, 望月
さんの現在の研究は, 内外の研究者から熱い注目を集めており, 筆者も, 松本眞さん(広
島大), 藤原一宏さん(名大)らとともに, 望月さん自身を講師として不定期に勉強会
を開いています.
また, 望月さんのこのようなディオファントス幾何への新しいアプローチから, p 進
体上の遠アーベル幾何の絶対版(基礎体のガロア群も固定しないで考えたもの)が数論
的に重要であることが示唆されています. この方向では, 望月さんは, 例えば, p 進タイ
ヒミュラー理論における標準曲線においてこの絶対p 進グロタンディーク予想が成立す
ることを証明しました. より一般の双曲的曲線については, 望月さんと筆者の間で議論
が現在進行中です.
望月さんが(筆者の2か月後に)数理解析研究所助手として就任されて以来, 遠アー
ベル幾何を中心にして, 二人でたくさんの議論をしてきました. (というと聞こえがい
いですが, 主に望月さんのアイディアを聞かせていただいてきたという感があります.)
望月さんの数学は常に斬新で刺激的で, 筆者のこれまでの研究も, そこから大きな影響
を受けています. 現在も, 望月さんから「ちょっとした観察があるので聞いてほしいので
すが」というような控えめなメールをもらうことがよくあり, しばしばその観察はちょっ
としたものではなく, 大きなブレークスルーとなりうるようなものなので, いつもわく
わく(少しドキドキ)させてもらっています.