12/03/25 19:46:06.07
「抽象化はそれだけではあまり有用なものとならなかった」「重要なものと考えられるようになった別の抽象化、例えば圏論などをカバーしていない」「圏論についてのブルバキの著作は(準備はされていたが)結局のところ書かれなかった」
URLリンク(ja.wikipedia.org)
ブルバキの主な業績は、七千頁以上に及ぶ「数学原論」(Elements de mathematique) の執筆である。
もとは微積分学の現代的な教科書を書くことに当てられていた彼らの作業は、中途で肥大化し、教科書を書くという目的は捨て去られた。
最終的に集合論の上に現代数学を厳密に、そして公理的に打ち立てることにその目標は向けられる。
彼らはそこで、代数構造、順序構造、位相構造という三つの構造概念、フィルターなどいくつかの新しい概念や術語を導入し、現代数学に大きな影響を与えた。
その完璧な厳密性と一般性を求める叙述はブルバキスタイルと呼ばれるようになる。
ブルバキの影響は年と共に次第に低下していった。
その理由はいくつかあるが、
ひとつには、彼らの抽象化はそれだけではあまり有用なものとならなかったせいであり、
ひとつには、ブルバキの影響を受けた本が他にも出版されるようになりブルバキの出版する本の独自色というものが失われつつあったせいでもあり、また
ひとつには、重要なものと考えられるようになった別の抽象化、例えば圏論などをカバーしていないためでもある。
ブルバキのメンバーの一人アイレンベルグは圏論の創始者であり、グロタンディークも圏論を積極的に論じた。
だが、圏論を導入するには、それまでに発表されてきたブルバキの著作に根本的な修正を与えなければならなかった。
そのため、圏論についてのブルバキの著作は(準備はされていたが)結局のところ書かれなかった。