13/10/26 17:44:39.44 mcl6LA5K0
『インディアスの破壊についての簡潔な報告』 ラス・カサス
URLリンク(ueshin.blog60.fc2.com)
もう、いやになるくらい残虐非道の数々を見せつけられる。スペイン人が1500年代に中南
米でおこなった暴虐や殺戮を、スペイン皇太子に報告するというかたちをとったこの本は、眉
をしかめっぱなしにしないと読めたものではない。
誇張としか思えないほどの何百万もの単位のインディアンが殺戮されてゆくのである。友好
的なインディアンをだまし、殺してゆくパターンは中南米の各地で判を押したようにくり返さ
れた。あまりにもリアルな殺戮方法がのべられるので、これはちょっと意図的な作為があるの
ではないかと思わなくもない。これは侵略や植民地といったものではなくて、戦争の殺人とな
んら変わりはない。
ヨーロッパ近代はこのようなかたちをとってはじまったのである。これが文明や先進国とい
われる高度なものがおこなうものなのか。殺戮が文明にかならずつきまとうものだとしたら、
文明という至上価値こそ突き落とさなければならないと思う。
ちなみにこの本は西欧でいろいろ政治的に利用される書物となったそうだが、西欧崇拝の日
本には1976年になってようやく翻訳されたそうである。「文明」の暗黒面に目をふさいでい
たかったのだろうか。