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事故初期において、福島県庁が安定化ヨウ素剤の配布・服用指示をしなかった経緯については、
最近出版された船橋洋一著『カウントダウン メルトダウン』にも描写されています。
福島県庁は、安定化ヨウ素剤の配布・服用指示の不作為だけでなく、独自の判断で住民の放射線防護を図った
自治体を抑え込もうとさえしました。
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船橋洋一(2012)『カウントダウン メルトダウン 上』,文芸春秋社,pp.220-221.
15日午後4時、福島県保健福祉部地域医療課の職員が、三春町の保健福祉課長の工藤浩之に電話をかけてきた。
「三春町はヨウ素剤を配布したと聞きましたけど、本当なんですか」
工藤は答えた。
「その通りです」
「国と県の対策本部の指示に従ってやることになっています。それに服用のときは
お医者さんの立ち合いの下にやらなければダメなんですよ。勝手にやられちゃ困るんです」
工藤は、それはないだろ、と思った。
ネットでいろいろ調べ、放射線医学総合研究所(放医研)などの権威ある放射線医療機関
の「安定ヨウ素剤取り扱いマニュアル」を何度も読み、備えてきた。
「お言葉を返すようですが、対策本部、対策本部とおっしゃいますが、連絡すら取れないじゃないですか。
それから担当の方が判断も十分できないじゃないですか。医師と言われますが、取り扱いマニュアルには
医療関係者と書いてあります。保健師、薬剤師も医療関係者に入るんですよ。マニュアル通りにやっています。
全く問題ありません」
それでも相手は「回収してください」の一点張りである。
工藤はたまりかねて言った。
「われわれは住民の安全を守らなければならないんです。何もないなかでそれをやらなければならないんですよ。
正しい放射線量がない。それから、対策本部の指示がない。その中でやらなければならないんです」
相手は、最後は威嚇的な口調になってきた。
「とにかく回収してくれ」
そう言うと、電話を一方的に切った。
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