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大前研一氏 トラブル経験豊富な日本の原発安全技術は世界一
2012.10.05 07:00 ※週刊ポスト2012年10月12日号
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東日本大震災以降、再生可能エネルギーに注目が集まっている。かつて原子炉
設計者でもあった経営コンサルタントの大前研一氏は、新エネルギーの中で輸出
産業として有望なのは地熱発電、原発、太陽光の3つだという。ここでは原発に
ついて氏が解説する。
* * *
もはや原発は国内で新設することは難しいが、海外に輸出することはできる。
皮肉なことに、アクシデントの経験が豊富な日本の原発安全技術は世界一だ。
東芝グループのウェスチングハウス・エレクトリックが手がけた最新鋭PWR(加圧
水型軽水炉)「AP1000」のように安全な原子炉(圧縮ガスによる圧力や重力などの
力で冷却水を原子炉容器内に注入し、自然循環によって熱を取り除く安全システム
を採用し、運転員の操作や電源を必要としない世界初の設計になっている)も登場
している。
これから日本の原発メーカーが福島第一原発事故の教訓を生かして一段と安全性
を高めていけば、世界各国が欲しがる有力な輸出商品になることは間違いない。
ただ、その際に重要なのは“人馬一体”で行くことだ。福島第一原発事故でも
オペレーションの大切さがわかったわけで、日本が原発を輸出する場合はGE
(ゼネラル・エレクトリック)のように原子炉だけ作ってあとは知らない、では
危険である。万一、輸出先でマニュアルの範囲を超えた過酷事故が起きたら、
対応できないからである。
したがって原発を輸出する場合は、原子炉を作るだけでなくエンジニアや運転員
も一緒に派遣しなければならないのだ。国内の原発は国営もしくは公営の組織に
一元化して精鋭による運用で技術を磨きつつ、人馬一体の輸出を行なっていけば、
それが日本の大きな強みになり、原子力産業の人材も維持できるというものだ。