12/09/03 21:44:08.88 PXLKnP2P0
>>406
私の発言にご考察を加えていただき、ありがとうございます。
>欧州、というか西欧が予防原則をとれるのは、予防原則を適用するデメリットが
>少ないからであって、東欧や被曝した我々は、もうちょっと慎重に
>双方のデメリットを見積もる必要がある。
予防原則の適用を、デメリットが大きいか小さいかで判断するというのは、
それ自身功利主義(最大多数の最大幸福)という、ひとつのイデオロギーですね。
そうではなく功利主義に対する批判が予防原則である、というのが欧州大陸系
の考え方の特徴のようです。経済的自由主義に対する社会的公正さの強調、
補完という思考経路です。
具体的、実務的には、英米系の功利主義ALARA原則に対して、功利計算では
解けない問題、不確実性の大きな問題について、予防的慎重策で対応し、
そのために事後的には過剰な出費であったとわかるような対策であっても
安全寄りで実行するというやり方ですね(確率論の不確実性領域)。
多数派納税者の幸福のために、少数者である被害者の不幸をうやむやにするとか、
将来世代の厄介ごとを無視して現代世代の享楽を最大化する、というあたりも、
功利主義の計算ではきちんと処理できていない問題領域です(倫理性領域)。
予防原則主義者(というのはあんまり聞かないけどw)といえども、
お花畑の理想主義者ではないわけで、通常の経済活動はほとんど功利主義
でやっているし、それでよいとしてるわけです。
だけれど、事故が起きたときに損保国際シンジケートも引き受けられないような
巨大な損害が生ずる経済活動はやめておこう、というのが予防原則です。
(保険料が十分高ければ国際シンジケートは引き受ける、という道筋もありますが、
そうなると原発電気料金が高くなりすぎて競争力を失うはずです)
民間経済が事態を引き受けられないような場合に予防原則をはじめとした
法秩序をきちんと実行し、ケアしてゆくべきなのが国家財政です。
その国家財政が破綻してしまうというというような局面が起こらないように、
あらかじめリスクの大きすぎる経済活動は禁止する、ということですね。