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原発安全研究“丸投げ” 保安院関連独法
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原発の検査や安全研究を担う独立行政法人「原子力安全基盤機構(JNES)」が、昨年度に国から受け取った安全研究費のうち、
人件費を除く費用の85%を原発関連の公益法人やメーカーなどへの外注費に回していたことが分かった。政府内にもこの実態を
問題視する声があり、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会は「利害関係のある原子力事業者などへの外注費支出は国民目線から
不透明感が否めない」として見直しを求めた。
JNESは昨年度、原子力に関する安全研究費として七十七億五千万円を計上。本紙の調べなどによると、人件費九億八千万円を
除く六十七億七千万円のうち、五十七億六千万円が外注費だった。六分野の十七テーマで安全研究を行ったとされるが、業務費の
ほぼ全額を外部委託しているケースもあった。効率的な検査の実現などを目指す「非破壊検査技術実証事業」では三億三千五百万円
のうち、三億三千二百万円を財団法人「発電設備技術検査協会」に支出。同協会は、事業収入の約半分を原発や火力発電所などの
検査料が占め、電力会社と関係が深い。
使用済み核燃料の再処理施設で老朽化に関するデータを得るための調査事業は、一億三千七百万円のうち、
一億三千六百万円を独立行政法人「日本原子力研究開発機構」に支払っていた。同機構は高速増殖原型炉「もんじゅ」を運営する。
またJNESは発足以来、就任した十一人の理事のうち、十人が官僚OBか現役官僚の出向であることも判明。経済産業省は
このうち九人を占め、天下り先になっていた。
安全研究の外注について、JNESは「当機構は研究設備を持たないことを原則に発足した。安全研究のためのデータ取得は
研究設備のある機関に委託し、(JNESでは)データの解析・分析を行っている」と説明。経産省原子力安全
・保安院企画調整課は「JNESが自前の設備を持つと維持費がかかり、経費削減の観点から外注する方針になった。
安全研究はデータをどう使うかが重要で、外注自体に問題はない」としている。
これに対し評価委員会は、JNESが安全研究の見直しを行うとともに、委託先ごとに選定理由や委託業務の内容、
契約金額など詳細な情報を開示するよう求めている。
<原子力安全基盤機構(JNES)> 1999年のJCO臨界被ばく事故や2002年の東京電力データ改ざん問題を受け、
経済産業省原子力安全・保安院を支援する組織として03年に発足。原発の検査や安全研究を担い、
「原子力の安全確保に取り組む専門家集団」を自任する。国のエネルギー対策特別会計から支出される
年間約200億円が主な財源。