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2014年3月11日
理事長声明『STAP細胞論文等への対応についての再要望』
特定非営利活動法人 日本分子生物学会
理事長 大隅典子
日本分子生物学会はSTAP細胞論文等に関わる問題について憂慮し、
3月3日付けで、理事長声明という形で理化学研究所に今後の規範と
なるような対応の要望を出したことは周知の通りです。
その後、著者の一部から、プロトコールという形で3月5日に実験
方法の一部詳細が発表されました。しかし、その内容はむしろ論文の
結論に新たな疑義を生じるものでした。その結果、ここ数日、研究者
コミュニテイーだけでなく社会的にも著しい混乱を招いております。
そのような状況の中、昨日3月10日付で共著者である山梨大学の若山
照彦教授から「STAP細胞の存在について確証が持てない」という趣旨の
発表がありました。
科学論文は実験結果に基づき、その正当性が初めて保証されます。
残念ながら、今回の論文等に関しては、データ自体に多くの瑕疵が有り、
その結論が科学的事実に基づき、十分に担保されているものとは
言えません。また多くの作為的な改変は、単純なミスである可能性を
遥かに超えており、多くの科学者の疑念を招いています。当該研究の
重要性は十分に理解していますが、成果の再現性は別問題として、
これら論文に対しての適正な対応を強くお願いします。
日本分子生物学会は、以下のことを理化学研究所に強く要望します。
そのような対応が研究の公正性を維持し、日本の生命科学のさらなる
進展に繋がると考えられ、また今後の規範になることを信じています。
1 Nature論文2報(Nature505,641-647,2014;Nature505,676-680,2014)
に関する生データの即時、かつ、全面的な開示、および、同論文
に対しての迅速かつ適切な対応(撤回、再投稿などを含む)
2 このように公正性が疑われるような事態を招いた原因に対する
詳細な検証と報告