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(神戸新聞 2013.12.28)
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万能細胞の仕組み解明 関学大研究グループ iPSにも活用へ
研究成果について説明する関由行専任講師=三田市学園2
拡大
ある組織や臓器になるためにいったん分化した細胞から、あらゆる細胞に
分化できる胚性幹細胞(ES細胞)を作るには、特定の2種類のタンパク質が
必要なことを、関西学院大理工学部(兵庫県三田市)のグループが解明した。
ES細胞と同様に「万能細胞」と呼ばれ、神戸市で世界初の臨床研究が進む
人工多能性幹細胞(iPS細胞)でも、正常に作るために役立つ成果。英科学誌
デベロップメント電子版に発表した。(金井恒幸)
細胞が特定の種類に分化するのは、不要な遺伝子群にメチル基という分子が
くっつき、働かなくさせる現象「メチル化」が起きるため。iPS細胞やES細胞と
いう未分化な状態に戻すには、遺伝子群にくっついたメチル基を取り除く「脱メチル化」が
必要となるが、詳しい仕組みは未解明だった。
脱メチル化が不完全な場合、品質の悪いiPS細胞ができたり、iPS細胞から
分化させた細胞ががん化したりするなどの課題があった。
グループは、マウスのES細胞を使い、脱メチル化の仕組みを研究。「PRDM14」と
いうタンパク質が、別のタンパク質「TET」に指示し、脱メチル化を起こして
いることを突き止めた。PRDM14を増やすと、ES細胞が正常化することも
確認した。
グループは今後、ヒトのiPS細胞でも同様の仕組みになっているのかどうかを検証し、
PRDM14とTETを加えることでiPS細胞の品質向上に貢献したいという。
iPS細胞を使った臨床研究では、理化学研究所(理研)などが目の難病患者の網膜を
再生する。対象患者を選定中で、その皮膚細胞から作ったiPS細胞を網膜色素上皮細胞に
分化させてシート状にし、来年夏にも患者に移植する。
理研の元研究員でもある関由行(よしゆき)・関西学院大理工学部専任講師は
「メチル化の異常が原因とされるがんなどの病気に対し、異常な部分のメチル化だけを
抑制する治療法の開発も研究していきたい」と話す。
URLリンク(www.kobe-np.co.jp)