12/02/13 20:26:05.54
URLリンク(goo.gl)
Amazon.co.jp
転写制御とエピジェネティクス-加藤-茂明
本書はCNSと呼ばれる3大誌を初めとする著名な科学誌に多くの論文を掲載した東大分生研の加藤茂明先生による渾身の図解書である。3大誌にこれほどの論文を掲載させることは、並大抵の努力では達せられない。
そのような中、加藤先生は「秘技・画像編集」の技法を駆使することで、時間をかけずに効率よく論文を掲載し続けた。
「加藤マジック」のすごさとその断片を垣間見るには、本書はなるほど、良書であろう。
その精神、技法、ラボ運営は、巣立っていった多くの弟子たちへと脈々と受け継がれている。
加藤先生は最期まで、画像編集技法の改良に、果敢に挑み、ご尽力なされた。
これを科学者としての魂と身分をなげうった「サバイバルゲーム」といわずしてなんと言おうか。
ただ、残念なことに星一つと敢えてきつい評価をさせていた。
その理由は以下の通りである。
1) 本書で一番売りにしていたはずの「画像編集」のテクニックがきちんと解説されていない。
画像編集テクは、加藤茂明先生のラボで論文大量増産を可能とした根幹に関わる部分である。
削られつつある研究費のため、なるべく実験せずに低予算で結果を出したい方たちにとっては失望したのではないだろうか。
2) お弟子さんたちの努力の痕跡(群馬大学、筑波大学でご活躍されている現役の先生方等)ももう少し例解してほしかった。
彼らの積極的な関与なくして、加藤研究室の業績は「伝説」とはなり得なかっただろう。