09/12/10 21:37:47 +ZdC4XtH
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「お母さん、最後ぐらい楽にさせてあげようよ」
「そうですよ、加世さん」
お袋まで口を出すつもりらしい。加世はお袋をちらっと見ただけで、すぐ瀬里菜に向き直った。
「あんたにお父さんの気持ちなんて分からないのよ。お父さんはね、瀬里菜が肩身の狭い思いしないように、ちょっとでも格好いいお父さんでいようと思って頑張ってきたのよ。車だってハワイだって我慢して、お金かけてきたのよ。」
「かわいそうにねえ」
お袋は責めるように加世をちらっと見た。
「そうかもしれないけど、髪の毛なんてどっちだっていいじゃない。あってもなくてもそんなに変わらないんだから」
「変わるわよ。あんたお父さんのかつらとった姿見たことないじゃないの。それでなんで変わらないなんて言えるのよ」
「髪があってもなくても、お父さんはお父さんなんだからどっちでもいいって言ってるの」
「そうだよねえ。瀬里ちゃん」
「なんでお父さんの気持ちを踏みにじるようなこと言うのよ」
加世はまったくお袋の方を見なくなった。あの2人はいつもこれだ。
「だから踏みにじってなんてないわよ。そんなこと気にしなくてよかったのにって言ってるだけよ」
「いずれにしてもあなたがなんと言ってもかつらははずしません。あの世でもお父さんかつら必要だもの」
「だからあの世に行ってまで髪のことなんて気にするのかわいそうだって言ってるの。それにかつらだって、影で笑われるかもしれないじゃない。そうじゃなくてもバレバレなんだから。」
「そうだよね~、あの世でまで気にするなてかわいそうだよねえ~」