12/02/08 02:35:16.86 CcJPQky2
最終話『再出発』
─数日後。
全てのカードを失ったタカシは、宿の中で支給されたNカードを指で弄んでいた。
そこに、荷物を手にしたサチが顔を覗かせる。
「タカシー?って…また考えてたの?」
「…うん」
あの最後の瞬間、師匠は一体何を言いたかったのか。
タカシの胸にはその事がずっと引っかかっていた。
「しすてむ…システムねぇ…。うーん」
サチは後ろ向きに歩きながら、器用に通行人を避けていく。
「例えば」
足を止め、真剣な顔をして口を開くサチ。
「この世界が実はゲームの中の世界で…それを壊したかった、とか」
二人は顔を見合わせ。
「「あははは!無い無い!」」
一頻り道の真ん中で笑った後、どちらからともなく手を繋いだ。
「よく分からないけどさ。
また一からがんばろうよ、私達のペースでさ」
「…うん、そうだね」
おわり