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昨日の朝日新聞天声人語
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単身赴任した昔、駅前ビルに掲げられたその名に絶句した覚えがある。堂々の
「大名古屋ビルヂング」。開業から半世紀、3年後には超高層に生まれ変わるが、
その、八丁みそのように濃い名が継がれることになった。なるほど名古屋は、名が
古いビル(屋)とほぐせる▼大の響きも、ビルヂングもやぼったい。だが、解体
を控えた秋の回顧写真展では「名前だけでも残して」の声が相次いだという。かくて
家主の三菱地所が思い切った▼「東京、大阪の陰に隠れていた都市が、自動車産業
を軸に世界に飛躍した時代のシンボルです。屋上の看板とセットですごい存在感
でした」。喜ぶのは『名古屋学』(経営書院)を書いた岩中祥史(よしふみ)さん
(62)だ▼ヂという表記は、外来語のZIをジ、DIをヂと書き分けた頃の名残
か。かつては後楽園スタヂアム、今でも日本ビルヂング協会連合会などがある。
東京駅前の丸ノ内ビルヂングは、10年前の建て替えで丸の内ビルディングとあか
抜けた▼同じ所有者が、東京で消した名を名古屋では残す。ヒルズやタウンなど、
しゃれた名称の再開発が多い中、昔風のネーミングはそれだけで渋い輝きを放つ
だろう。お金をかけずに目立つなら、かの地らしい「お値打ち」となる▼洗練を
よしとする江戸風に対し、わが道をゆく尾張流。みそカツや天むすなど、中京圏
では食道楽も独自の進化を遂げてきた。街もいろんな味がするから面白い。地方
の文化を尊ぶ意味でも「どえりゃあ決定」だと支持したい。