12/01/17 23:07:13.96 dSdhis1N0
危うい自由診療
弁護士 服 部 功 志
まだ小学生ぐらいのころだろうか。遊んでばかりしていてろくに勉強などしていなかった私は、
クラスの頭の良い友達のかけているメガネになぜか憧れ、自分もメガネかけたらなんか頭良くなるかも知れないし、
かっこいいって思われるかも・・・。
なんてバカなことを考えたものである。高校3年生の夏にはじめて勉強というものに真剣に取り組んだ私は、
慣れない勉強に体が悲鳴を挙げ、それまで両方1.5あった視力が、一気に0.5くらいに下がり、その後もドンドン低下した。
憧れのメガネを初めて買って「おっ!ちょっと似合うかも・・・。」なんて思ったのはほんのつかの間。
たちまち目が悪いことがいかに不便かを思い知り、同時に「視力が良かったらなんて幸せなのだろうか」
「なんとかして視力が戻らないだろうか」と裸眼で生きているひとのことを心からうらやましく思うことになる。
そんな視力の悪い人間が誰もが思う願望につけ込み、医療を道具にした商売。
レーシック事件はまさにそんな事件であろう。
私をはじめ、医療問題弁護団の多くの弁護士が、レーザー光線を使って視力矯正をする
レーシック手術により角膜炎や角膜潰瘍に集団感染させた未曾有の眼科被害事件の解決に取り組んでいる。
70人以上にも及ぶ患者の受けた被害は、眼に走る激痛と、眼が見えなくなるかも知れないという恐怖で、
まさに地獄のような日々を過ごすことになった。
眼が思うように見えないことにより、また、急に入院を余儀なくされたことにより、
被害者は、日常生活を送ることもままならず、中には、デスク仕事の継続が困難となり失業した方、
卒論が書けずに留年したりする方、進学や就職の時期と重なり思い描いていた進路を断念せざるを得なくなった方もいた。
被害者へ聴き取り調査の結果、われわれ弁護団は、報道された「角膜炎などへの集団感染」という短い言葉だけでは
到底伺い知ることができなかった、生々しくそして壮絶な被害を目の当たりにし、この事件の被害の大きさを痛感することになった。
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