【忘備録】おきゃんぴーの中野at BEATLES
【忘備録】おきゃんぴーの中野 - 暇つぶし2ch1:ホワイトアルバムさん
10/12/25 13:26:52 ID0ABC0R0
前年比売上が3割減という衝撃的な数字に緊急召集された朝一での営業会議でのことだ。
危機感を募らせた営業本部長が檄を飛ばす中、この3ヶ月というもの、朝7時半から夜9時半まで休みは月1日だけという馬車馬のように働いてきた俺は、意識がもうろうとしうた状態で不思議な浮遊感に包まれていた。
突然、俺の記憶の中で予想もしなかった引出しが開いたんだ。
それは、おきゃんぴーの中野が子供の頃、阪神の掛布の大ファンで、サインを貰いに球場へ行った時の話だった。その時、掛布は忙しかったのか、機嫌が悪かったのか、おずおずとサイン帳を差し出す子供中野に対して、ひどく邪険な態度をとったというのだ。
テレビで見る掛布はとてもフレンドリーで優しい印象だったのに、実物の掛布はいけ好かない意地悪なオッサンに過ぎなかった。もちろん、実際の掛布の人物像がどのようなものかは、このエピソードだけでは断定することはできない。
しかし子供心に裏切られたという思いを切々と語りながら、大きな目に見る見る涙をためていく中野の独白は、その時、俺の心のどこかに静かに埋蔵されたのだろう。
そんなことを二度と思い出すこともなく、20年以上が過ぎた師走の営業会議の真っ最中に、なぜか唐突に、まったく場違いに、その記憶がまるで昨日のことのように鮮明に蘇ってきたのだ。
俺はぼんやりとした懐かしさに浸る一方で、ひどく狼狽していた。自分の中で何かが壊れかけているのではないか。しかし、そういった危機感は長くは続かなかった。
俺は、おきゃんぴーの中野のエピソードを誰かに話したくて、うずうずし始めていた。だが唐突にこんな話をしたら、他人は俺が気が狂ったと思うかもしれない。「はあ?何わけのわからないこと言ってんすか」と冷淡な反応をされるのも怖かった。
そこで俺は、社内で唯一気を許している次長補佐のMに、おきゃんぴーの中野の話をすることにした。Mは俺と年齢も近く、話も合うので、彼ならこのエピソードをおもしろがって聞いてくれると思ったのだ。
先ほどの会議で槍玉の一人に上げられていたMは、多少気が立っているようだったが、そんな彼の気持ちを和ませることにもなるのではないかと、俺は静かにMの背後に近づいた。


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