10/05/25 21:03:17 0
ジョンと私は、ニューヨークのダコタ・ハウスで、
偏屈な老人みたいに過去の栄光について話し合った。
突然ジョンが私を見てこう言った。
「なあ、ジョージもし機会があったら全部録音し直しただろうな」
私は驚き「Strawberry~もかい?」と言った
「Strawberry~は特にだね」
「ビートルズがやったほとんどのものはクズだよ」
私はショックだった。
彼に中にあるすべてが、外の世界での表現よりも勝っていたのだ。
それが彼の人生だった。
----ジョージ・マーティン-----
イントロの2つのコードに導かれて、曲は星のような輝きを持って繰り返す旋律に入っていった。
”目を閉じれば楽に生きていける・・・”。あの鼻にかかった素晴らしい独特の声がかすかに震え、胸にしみ込んだ。
私はすっかり魅せられた。恋に落ちてしまった。
「どうだい?」、ジョンが歌い終わるとひどく神経質に訊いた。彼はおだてに乗るタイプではないが、それでも私の返事を待つ
までもなく、私がその歌を気に入っていることがわかっていた。私はおぼつかない返事をした。
「すごいよ、ジョン。本当にすごい歌だ。これをどういう風にしたいんだい?」。
「それを教えてくれるのが君だろ!」とジョンは笑いながら私に返してきた。実は今になって、
あのときこう言えていたら、と思う。つまり、「今聴いたままの歌で充分だ」と。あのときのまさに初めて通して聴いた音を
テープに録音してそれを発売したかったと、どれほど残念に思ったことか。
ジョージ・マーティン