13/02/03 00:36:07.29 goa7hod20
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5人の最後にブルペンに入る。ポンと、第一球を投げた。
リズムよく、ポンポンとボールを投げる。
キャッチャーが座ると、ストレートを続けた。力むことのない、穏やかなフォームなのに、腕の振りからはかなりの力感が伝わってくる。
ボールをリリースする瞬間、すべての力を指先に集めようとしているからだ。ボールが空気を切り裂く音は、ひときわ高い。
圧巻だった。ストレートばかり、31球。5人の中では、ひときわ目立っていた。
誰よりも球数を投げ込んだ乾、フォークを何度も叩きつけてしまう榎下、外と内を丁寧に投げ分けようとする吉川。
去年、一軍で投げることができなかった植村は、持っている武器を総動員していた。
しかし、斎藤にはアピールの必要はない。
誰よりも遅くブルペンにやってきて、誰よりも早くブルペンを後にする。
いかにも斎藤佑樹らしい演出だと思った。ストレートだけ。しかも、格の違うストレート。
ポンと投げ始めて、ポンポンと投げ終えて、サッサとマウンドにトンボをかけて、スッといなくなる。
颯爽と、堂々と─。
このメンツの中で、突出しないわけにはいかない。斎藤を支配し続けてきた、夏の甲子園で勝ったという責任。世代トップにいなければならないという誇り。
ファイターズの同級生に囲まれて、絶対に埋もれてしまうわけにはいかない。