11/06/25 17:06:43.57 QA+E+gX50
>>546
改訂版
私の母は昔から体が弱くて、それが理由かは知らないが、
母の作る弁当はお世辞にも華やかとは言えないほど質素で見映えの悪い物ばかりだった。
友達に見られるのが恥ずかしくて、毎日食堂へ行き、お弁当は1人で食べていた
ある朝母が「今日はあんたの大好きな海老入れといたよ」と私に言ってきた。
私は生返事でそのまま学校へ行き、こっそり中身を確認した。
すると確かに海老が入っていたが、殻剥きがめちゃくちゃで食べるのに一苦労した
家に帰ると母は私に「今日の弁当美味しかった?」と、心配そうに尋ねてきた。
私はその時イライラしていたし、いつもの母の弁当に対する鬱憤も溜っていたので
「うるさいな!あんな汚い弁当食べ辛いよ!もう作らなくていいから」とついきつく言ってしまった。
母は悲しそうに「気づかなくてごめんね…」と言いそれから弁当を作らなくなった。
それから半年後、母は死んだ。私の知らない病気だった。
母の遺品を整理していたら、日記が出てきた。
中を見ると弁当のことばかり書いていた。
「手の震えが止まらず、上手く海老の殻剥きができない」
日記はあの日で終わっていた。
後悔で涙がこぼれた
たった一言でも
「美味しかったよ」
と、言えばよかった・・・