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名誉毀損罪
通説では、本罪は抽象的危険犯とされる。つまり、外部的名誉が現実に侵害されるまでは必要とされず、
その危険が生じるだけで成立する。
事実の有無、真偽を問わない。ただし、公共の利害に関する事実に関係することを、
専ら公益目的で摘示した結果、名誉を毀損するに至った場合には、
その事実が真実であると証明できた場合は処罰されない
公然 [編集]
「公然」とは、不特定または多数の者が認識し得る状態をいう。「認識しうる状態」で足り、
実際に認識したことを要しない(大判明治45年6月27日刑録18輯927頁)。
また、特定かつ少数に対する摘示であっても、それらの者がしゃべって伝播していく可能性が予見でき、
伝播される事を期待して該当行為を行えば名誉毀損罪は成立する(伝播性の理論)。
名誉 [編集]
「名誉」とは、通説はこれを外部的名誉、すなわち社会に存在するその人の評価としての名誉
(人が他人間において不利益な批判を受けない事実。人の社会上の地位または価値)であるとする。
これに対して、同罪の名誉とは、名誉感情(自尊感情)であるとする説がある。この説によれば、
法人、あるいは法人でない社団もしくは財団に対する名誉毀損罪は、論理的には成立し難いこととなる。
毀損 [編集]
「毀損」とは、事実を摘示して人の社会的評価が害される危険を生じさせることである。
大審院によれば、現実に人の社会的評価が害されたことを要しない(大判昭和13年2月28日刑集17巻141頁)
とされる(抽象的危険犯)。名誉毀損罪は、人の名誉を毀損すべきことを認識しながら、
公然事実を摘示することによって成立し、名誉を毀損しようという目的意思に出る必要はない
(大判大正6年7月3日刑録23輯782頁)。
背徳または破廉恥な行為のある人、徳義または法律に違反した行為をなした者であっても、
当然に名誉毀損罪の被害者となりうる(大判昭和8年9月6日刑集12巻1590頁)。
事実の摘示 [編集]
摘示される事実は、人の社会的評価を害するに足りる事実であることが要求されており、
事実を摘示するための手段には特に制限がなく、『インターネットの掲示板で書き込む』
『張り紙で噂を広める』『街宣車を動かして噂を宣伝する』などの場合であっても成立する。
その事実の内容の真偽を問わない(信用毀損罪の場合は虚偽の事実でなければならない)。
また、公知の事実であるか非公知の事実であるかを問わない(大判大正5年12月13日刑録22輯1822頁)。
事実を摘示せずに、人に対する侮辱的価値判断を表示した場合は、侮辱罪の問題となる。
被害者の人物の批評のようなものであっても、刑法230条にいう事実の摘示であることを妨げない。
また、うわさであっても、人の名誉を害すべき事実である以上、
公然とこれを摘示した場合には名誉毀損罪が成立する(最決昭和43年1月18日刑集22巻1号7頁)。
被害者の氏名を明確に挙示しなかったとしても、その他の事情を総合して何人であるかを察知しうるものである限り、
名誉毀損罪として処断するのを妨げない(最判昭和28年12月15日刑集7巻12号2436頁)。
事実が真実であっても、終始人を愚弄する侮辱的な言辞をこれに付加摘示した場合には、
公益を図る目的に出たものということはできない。