05/03/29 02:03:10 Gy5FCNhP
…酒は良い。
酔っている間は嫌なことを忘れられる。
耳障りな声をあげてまとわりついてくるゾンビどもの頭を
ついさっきまでバールで叩き潰してたなんて嘘みたいに思えてくる。
役に立ちそうなものを探しに入り込んだ民家だったが
めぼしいものといえば冷蔵庫の中の五本の缶ビールくらいのものだった。
肴がないのが少々残念だが、久しぶりのアルコールに
頭の中が心地よい浮遊感に見舞われる。
…だが、チッ…。
唯一気に食わねえのはこの家の元住人達だ。
声からして3~4匹ってところか。
さっきからこの台所のドアをひっきりなしに叩いてやがる。
…あぁ悪かったよ。無断で入り込んだのは謝る。
だがお前さん等にはもう必要の無いものだろう。
それに人が気持ち良く飲んでるところを邪魔するのは粋じゃないぜ。
愛用のバールを手繰り寄せ、座った背中でドアを押さえたまま、
最後に残った缶ビールの口を開ける。
やれやれ、この世界に一つだけ不満があるとしたら、
のんびりと酒を飲むことができないことだな。