06/11/30 19:38:49 MNb/YLq8
狗鷲は舞い降りた 弐
作戦名、『狗鷲』。
日本最大の猛禽にして、翼長最大2mのこの巨鳥は小動物ならその鋭い鉤爪で捕らえ、空
に運び去る事が出来る。人間であっても幼児なら容易に奪い去る能力を持っている。
世界人類の敵、そして何より日本国民の敵であるキムジョンイルを空から急襲し、捕捉、逮捕
し、北朝鮮国外の空へ奪い去るこの作戦に相応しい作戦名であった。
2007年、国産ステルス制空戦闘機「心神」増加試作機の編隊に先導され、試作次世代輸送
機「C-X」は守大納中佐と13人の特殊作戦群隊員を乗せて北朝鮮上空へと向かったのだった。
空から急襲し、ジョンイルを鋭い鉤爪で空高く奪い去る「狗鷲」作戦はこうして始まった!
「非常に頭が良くて、勇気があって、冷静で、卓越した軍人 - そして、ロマンチックな愚か者だ」。
極めて優秀な特殊部隊指揮官であり自衛隊において数々の武勲と栄誉と人望を得ていながら、
訓練中に一人の少女を救う為に処分を受け昇進の望みを絶たれた中佐の人物評だった。
守大納中佐のもとへ公安調査庁対外情報部の使者と元北朝鮮工作員安明進が訪れる。
キムジョンイルの身柄拘束、不可能ならば射殺という第2期朝鮮戦争の早期終結をもたらしうる
作戦完遂を決意し、守大納中佐と13人の部下(と1人の機略縦横な公安調査庁対外情報部の機
関員)は作戦開始の日を迎えて輸送機から嵐の夜空へ飛び出していく。
己の最期まで誇りを失わず空を征く狗鷲の如く。