05/04/10 01:22:38 0ttH9ySl
ちなみにギリアムの翻案は、言うまでもなく
史上名高いトルコのウィーン包囲戦を念頭に置いてのことでしょう
(ドイツではないが、まあドイツ語圏ではある)
念のため説明しておけば、ギリアムは後日のインタビューで
ドイツでこの映画が反発を買った理由を、概ね以下のように分析してました。
(1)「ほら男爵」はドイツの国民的古典のひとつ。外国人が得手勝手に改作すれば反発があるのは当然
(2)ドイツ史上最大の「夢を与えてくれる大ボラ吹き」はヒトラーに他ならなかった。
ここで問題になるのは、当然(2)です。
ドイツは歴史的因縁から大量のトルコ人労働者が流入し、今日に至るまで微妙な社会的問題となっています。
ちなみにこの映画が製作された80~90年代には、ネオナチのトルコ人襲撃が頻発していました。
またトルコのEC~EU加入問題は、ドイツにとどまらず欧州全体の積年の難問です。
アメリカ人監督が作った脳天気で素っ頓狂なこの映画が、
欧州では多分に政治的意味合いを帯びてしまうことを避けられない。
映画の善し悪しはどうあれ、現実社会は複雑なわけです。
・・・まあ映画評としては余計なことではありますが、一応念のため。