04/10/26 01:45:45 uFlLH+RK
里沙の部屋に一緒に入るなり、緑川博士は急いで扉を閉め、そして蜂女の鼻の付け根、双
つの複眼のちょうど中央を指で押えた。
とたんに頭部の変身が解け、蜂女は里沙の姿へと戻った。アイグラスが音を立てて床に落
下した。「博士…わたし、一体?」
「よくやった。深町くん。」緑川博士はアイグラスを拾い上げ、里沙に手渡した。
「君には、実は、脳改造手術は施していない。君を完全なショッカーの一員にしてしまう
ことは、私にはできなかった。だが脳改造を受けていなければ、君は組織に抹殺されてし
まうだろう。だから私は、このアイグラスに仕掛けを用意した。」
緑川博士は里沙の正面に立ち、小さな子供に言い聞かせるように言った。
「このアイグラスをかけて蜂女に変身している間は、脳改造を受けているのと同じ状態に
なる。きみは身も心もショッカーの一員だ。深町里沙としての意識はあるが、大首領の命
令に絶対服従し、どんな悪事でも平気で行えるようになるだろう。だが、目と目の間にあ
る変身解除スイッチを押せば、君は自我を取り戻せる。アイグラスがなければ、君はショ
ッカーの蜂女ではなく、深町里沙のままでいられる。変身解除はいつでもできるよ。蜂女
でいる時も、深町里沙の意識はずっと残っているから、首領から変身解除するなという命
令が与えられない限り、いつでも好きな時に深町里沙に戻ることができるはずだ。」
「先生! …ありがとうございます。」里沙は涙ぐんだ。
「だが、このことは誰にも知られてはいけない。君が脳改造を受けていないことが知られ
れば、即座に処刑されてしまうはずだ。極力、ここにいる時はアイグラスを着け、蜂女で
いた方がいい。多少の悪事には荷担させられるだろうが、我慢してチャンスを待つんだ。」
「チャンス…と言いますと…?」