04/04/18 15:28 arSZwLfM
「闘牛士の栄光」
名探偵のシリーズものには、ありがちなホームグラウンドを離れた観光もの。
動機解明を主眼にしたかなりの異色作である。
コロンボの推理の決め手となる水を張っていないケープの件をはじめ、
高値な牛、講演旅行の車の選択、死体の位置、闘牛の時刻と気象、ランスの欠片、
牛のスリップの跡、ガイシャの荷造り等々、
この番組の面白さのひとつである細かい手がかりによる推理の積み重ねは抜かり無く演出
されている。素材の特殊さが興味を殺ぐ点を考慮してC評価したが、まずまずの出来栄え。
闘牛がメーンテーマのひとつであるヘミングウェイ「日はまた昇る」の新訳を
読んだばかりなので、それなりに興味を持って見ることは出来た。
同書訳注によれば、闘牛にはカポーテ(助手)、ピカドール(槍師)、バンデリリェッロ(銛師)
マタドールという役回りがあるとのこと。
本作は、ガイシャはカポーテ、犯人はマタドール(劇中でもこのように呼ばれている)という
ことになろうか。
ペドロ・アルメンダリス(犯人役)、同JR(刑事役)、エミリオ・フェルナンデス(牧童役)
なんとも濃いキャストである。
ペキンパーの名作「ワイルドバンチ」で敵役マパッチ将軍を演じたフェルナンデスが
出ているのが何気に嬉しいものがある。