02/09/15 22:04 TDBU4TmU
天使のたまごスレからコピペ
「 人は誰とも出会うことなく、というより他人を必要としないままに、生まれ成長
し子供をつくり年老いて死んでゆくのではないか。
あらゆる場所で多くの人々に接して暮していながら、実は私たちは群集の中にあ
って限りなくひとりきりであり、何よりそのことに気ずかぬことによってさらに他
人と擦れ違いつづけ、自らの手で作り出した舞台の上で、出会いがそのまま訣別で
あるような小さな劇(ドラマ)を演じつづけているのではないか。
<終末>あるいは<世紀末>というような言葉から、直ちに思い浮かぶことので
きるのは、そんな疑問ばかりです。
自分でない誰か。
目の前にいて自分をみつめているその誰か。
自分がいなくなってもその場に在りつづけ、自分と同じように世界を眺め語り死
んでいくであろうそんな<他人>を信じることは、きっとそのままこの私たちの生
きる世界を信じることであり、それが唯一の<現実>であることを信じることに違
いない。
そんな<他人>に会いたい。
その出会いの後には、私は決して今の私ではなく、現実は<私の現実>ではない
唯一のかけがえのない<現実>となって私の前にひろがるに違いない。
今<希望>や<救い>を語ることは、そんな出会いを通過することなしには、あ
り得ないのではないかと、そう思えてなりません。」
↑
文庫版「天使のたまご」の押井氏「あとがき」より抜粋。
個人的に印象的だったので・・。
難解極まる映画本編より、心にじかに届くかも。