02/11/05 20:05
「そんな端だと、ほとんど布団被れてないだろう?」
「…いえ、十分です」
蚊の鳴くような声が返ってきた。
仕方なく、布団を彼の方に押しやると(俺の身体が半分はみ出ることになるが)
「…おにいさんが寒いんじゃないですか?」
と押し返してきた。
俺は起き上がって、一度は消した蛍光灯をつけた。
「なあ。別に何か君…シンジ君にしようとかするつもりはないから、お互いもちっと
くっついても…え?」
「…す…みま…せん」
それほど語気を荒くしたつもりもないのに、シンジはベソをかいたような顔で俺を見上げる。
「怒ってるわけじゃないんだけど?」
「…ごめ…ん…な……」
ああもう何か俺が悪いことをしたような気になるじゃないか。
俺のすぐ隣で、手の届きそうな距離で、身を縮めて涙ぐんでいる布団の上の小動物。
(抱きしめちゃいたいかも)
(ってこの様子だと、そうしたところで抗われることもない気がする)
(抱きしめて。”怯えなくてもいいよ”って囁いて。)
(石鹸の匂いのする頭をそっと抱いてやろう。)
(きっと彼は身を固くして、ぎゅって目を閉じて。唇をぎゅって噛み締めて。)
(背中を撫でてやろう、なんどでも”怖くないよ”って囁きながら。)
(他人と肌を合わせるのは、悪いことじゃない。特にこんな冷たい雨が降る夜は。)
(…そう、教えてやろうか。)
(きっと彼の指先は冷たいままに違いない。それを確かめようか?)
…このあと、ど、どうしよう…862さんの煽り(藁)も捨て難いが…