08/03/08 23:00:19
> これを認めると「なんでもあり」になってしまう第2の殺人(催眠術による遠隔殺人)が、
> その実現性の問題は別としても、
> 原則ミステリの禁じ手とされるものであり、何の工夫もなく使用されていることのみにとどまらず、
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>>523-524は、製作者がいろいろと工夫しているということを論考しておりますw
> *一見不要な冒頭のナディアの「治療」のシーンで、彼女がファザコンで
> 父親を妹と取り合っていたこと、妹は泳げなかったので「水泳」が、彼女が
> 父親の気を引く有効な手段だったことを提示。
> *ナディアがコリアーを信頼しきっていることを提示(ボーデン博士の台詞に
> 「薬など不要なほど頼り切っている」という重要な補足がある)。
> *そこにさらに、「精神を捻じ曲げて隠しておきたい言葉も引き出す」強力な
> 薬を大量に使用していることが提示される。
> *ここまでが、犯行とは関係なく、「催眠による画期的な結果を引き出し、
> 本を出版する」目的で行なわれていることが、シナリオの上手さである
> (当然、被験者には、もともと催眠効果が高い相手を選んだだろう)。
> コリアーはそれを利用して、最後の一押しを電話で行なったのである。
> *犯行時。ナディアの結婚がファザコンによるものであることが描かれる。
> 「父親と同年輩の暴君」に抑えつけられることに反発しながら、無意識下では
> それが「父親を得る」幸せとなっている。
> *夫殺しに加担したことで、同時に「父親を殺した」という罪悪感が生まれ、
> それがナディアをさらに不安定にし、コリアーへの依存度が高まった。
> *そこで、コリアーは、さらに強力な薬を与え、「父親に愛される」ことの象徴である
> 「プールに飛び込む」という暗示を与える。
>
> よって、幾重にも暗示のかかったナディア・ドナーという登場人物においては、
> 現実がどうかとは関係なく、ドラマ内ので「遠隔殺人」は可能なのである。